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今回は、
◆平均賃金
について学びます。
平均賃金
平均賃金は、1日あたりの賃金平均のことを言います。
平均賃金が必要な場面として、労働基準法上の一定の金銭による補償・給付等の算定の基準があります。
つまり、各種休業制度や年次有給休暇制度などを利用するとその制度でもらえる補償額を計算する必要がありますが、その基準として使われるということです。
平均賃金は、補償や給付等の算定事由が発生した場合に、その前日から直近3か月分を起算すれば求められます。
ただし、雇入れ後3か月に満たない場合は雇入れ後の全期間になる点や、賃金締切日があれば直前の締切日から起算になる点などに注意しなければいけません。
端的に計算方法をお伝えすると、一定の期間に基づいた日給平均を出せばいいので、3か月分賃金総額 ÷ 3か月間の総日数(全日数)で平均賃金は求められます。
総日数は労働日数ではなく全日数であることを押さえておきましょう。
では、算定事由発生日はいつになるのでしょうか。
各休業休暇制度で微妙に違いはありますが、大まかにいうと「手当や補償が必要になる期間(あるいは労働していない期間)の始まりの日」と思ってください。
実際には下記の通りですが、この覚え方をしておくとイメージしやすいですね。
① 休業手当 ⇒ 休業を与えた日(複数日なら初日)
② 年次有給休暇 ⇒ 休暇付与日(複数日なら初日)
③ 解雇予告手当 ⇒ 解雇通告をした日
④ 災害補償 ⇒ 事故発生日or診断による疾病発生確定日
⑤ 減給の制裁 ⇒ 減給制裁の通知が労働者に到達した日
⑤は減給なので他とは毛色が違いますが、発生日の考え方としては共通です。
一方、算定基礎には除外しなければいけない賃金や期間があります。
【除外となる賃金】
① 臨時に支払われた賃金(最低賃金と同定義、結婚手当や出産手当)
② 3か月を超える計算期間ごとに支払われる賃金
③ 通貨以外の支払賃金で一定範囲外のもの(現物給与)
②は、「支給額が確定しておらず賃金前払いに当たらないもの」が該当しますが、ポイントは『計算期間ごと』であることです。
例えば、毎月の通勤定期代を6か月分として年2回払った場合などは毎月の賃金の前払いになるため算定に含まれますし、支給額が確定している賞与なども同様です。
①と②がなぜ除外になるかというと、「日ごろの労働の対価である給与」では無いからです。
平均賃金は日ごろの労働の対価である給与が支払われない期間に、その給与に変わって支払われる補償金などの算定をするための賃金です。
ですから、給与とみなされる賃金が算定に含まれるのは当然ですし、そうでない賃金であれば含まれません。
定期代は支払いタイミングが3か月や6か月など自由になっているだけであって、代金の計算は毎月行います。
ですから給与扱いとなるため算定されます。
③は主に現物給与の場合ですが、現物もよくよく考えてみれば、常日頃価値が変動しますよね。
ですから支給額が確定しない扱いになりますので、ある意味②と同じ理由で除外されます。
【除外となる期間】
① 業務上の負傷や疾病により療養のために休業した期間
② 産前産後休業、育児休業、介護休業などの期間
③ 使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間
④ 試用期間
上記がなぜ除外されるかというと答えは簡単で、そもそも各種休業というのは休業手当が発生します。
休業手当は給与が支払われていない時に補償されるものですから、それを算定期間に含めて他の手当額を算出してしまうと、手当の2重計上になりますよね。
ですから除外となります。
次に④ですが、これの除外理由は他と違います。
厳密には除外というより他の基準で算定されると思ってください。
すなわち、試用期間中の日数及び賃金によって計上されるということです。
試用期間中は賃金額が低くなったりしますよね。
ですから、通常賃金としてこの期間を計算してしまうと本来より過剰な額で算定することになりますから、除外されるのです。
なお、平均賃金には最低保証というものがあります。
次の2パターンどちらかの場合の計算式で求められた賃金額よりも平均賃金が低い場合は、各パターンで求められた賃金額が適用されます。
詳細は、下記の図をご参照ください。
わかりやすい例でいうと、休業補償は最低でも普段の給与の100分の60がもらえる…というのを聞いたことがあると思いますが、それが最低保証です。
まとめ
◆平均賃金は、直近3か月間の日給平均のことである
◆平均賃金を算出する際は、算定から除外される賃金や期間がある
◆平均賃金を算出した後、最低保証額と比較して平均賃金額の方が低い場合は、最低保証額が平均賃金として適用される
次回は、【社会保険の概要】です。