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今回は、
◆時間外・休日労働(36協定)と割増賃金
について学びます。
時間外・休日労働(36協定)
労働者に、法定労働時間を超えて労働、もしくは法定休日に労働させる場合には、時間外・休日労働に関する労使協定を締結し、行政官庁に届け出なければなりません。
この労使協定を36(サブロク)協定といいます。
36の由来は、労働基準法36条にこの内容について記載があるからです。
ただし協定を締結していても、限度時間が規定されていて、限度時間を超えた場合は使用者に罰則が適用されます。
この限度時間や罰則については、第11回講義にて詳細を解説します。
割増賃金
【割増賃金の内容】
時間外労働・休日労働・深夜労働(22時–翌5時)を労働者にさせた場合、割増賃金が発生します。
各形態によって割増率が設定されており、その数字を下回る割増率を設定することはできません。(上回る分には制限がありません)
なお、時間外労働に関しては、1ヵ月間に60時間を超えると、超えた分は割増率が更に上昇します。
具体的な割増率は下記の通りです。
時間帯 | 割増率 |
時間外労働 | 2割5分以上(5割以上) |
休日労働 | 3割5分以上 |
深夜労働 | 2割5分以上 |
時間外労働+深夜労働 | 5割以上(7割5分以上) |
休日労働+深夜労働 | 6割以上 |
※()内は、時間外労働が1ヵ月60時間を超えた場合
表を見ればわかりますが、基本となる3種類の時間帯の割増率さえ覚えておけば、複数時間帯の場合、合計がそのまま割増率となります。
【賃金額の計算方法】
続けて、日給や週給・月給など異なる給与形態の時に、1時間あたりの賃金額を計算する方法について学びます。
なぜ1時間あたりの賃金額を知る必要があるのかというと、これを基準として割増賃金を算出したり、有給休暇の平均賃金として利用したりするからです。
いずれの給与形態の時も基本の計算方法は同じで、合計給与額を該当期間の合計所定労働時間で割れば算出できます。
ただし、この場合、所定労働時間にムラがあると正しい賃金額が計算できません。
(日給なら該当する1日分から計上、週休なら該当する1週間分から計上など、範囲の抽出がピンポイントすぎるからです。
例えば該当日の所定労働時間がたまたま6hで他の日は全て8hだった場合、6hとして計算するのは正確ではありませんよね)
そのため、所定労働時間数が都度ごとに変わる場合は、各期間の平均所定労働時間数を算出して計算します。
日給なら1週間分を平均して1日分の平均所定労働時間を算出、週給なら4週間分を平均して1週間分を、月給なら1年分を平均して1か月分を算出します。
こうすることで、より正確な賃金額が求められます。
【割増賃金から除外される賃金】
注意点として、割増賃金の計算から除外される賃金があります。
・家族手当(扶養家族数で支給する形式)
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当(一律支給は除く)
・臨時に支払われた賃金
・1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金
特に赤字の賃金は試験に出題されやすいので、覚えておきましょう。
家族手当と住宅手当は除外される場合とされない場合があり、一律支給形式は除外されないと考えればわかりやすいです。
また、賃金額と所定労働時間を計算する際に端数が発生することがありますが、こちらの処理の仕方は四捨五入となっています。
賃金額 ⇒ 50銭未満切捨て、50銭以上1円未満切上げ
所定労働時間 ⇒ 30分未満切捨て、30分以上1時間未満切上げ
これらのルールは試験問題に必ず記載がありますので覚える必要はありませんが、なんとなく四捨五入することを意識しておくと良いですね。
まとめ
◆時間外・休日労働に関する労使協定を36(サブロク)協定という
◆割増賃金の形態は基本3種類を覚えておこう
◆1時間あたり賃金額を正確に把握するためには、平均所定労働時間数の算出が便利
◆割増賃金の計算から除外される賃金がある(7種類)
次回は、【マイナンバー制度と対応の仕方】です。